部下の態度を変える方法
組織の成長において、メンバーの態度やマインドセットの変革は非常に重要です。しかし、単に指示を出すだけでは根本的な変化を引き起こすことは難しく、メンバーの個々の特性や動機に合わせたアプローチが求められます。
1. 部下の態度を変える3つの原則
まず、部下の態度を変えるための基本的な方法として、以下の3つが挙げられます。
- 知識を付けさせる
- 知識が不足していると、新しい行動をとることに対する不安が生じる。
- 教育・研修を通じて新しい知識を提供し、変化への抵抗感を減らす。
- 経験させる
- 実際に新しい経験を積むことで、成功体験を得られる。
- 「やってみたら意外とできた」という体験がモチベーションにつながる。
- 同調圧力を使う
- チーム全体の雰囲気を変えることで、個人の行動も変わる。
- 「周りが変われば、自分も変わらざるを得ない」という環境を作る。
しかし、態度の変化だけでなく 「マインドを変える」 には、さらに深いアプローチが必要です。
2. メンバーのマインドを変える方法
メンバーのマインドを変えるためには、まず 個人特性を把握 することが重要です。その上で、以下の2つの要素を考慮すると効果的です。
- 誰の言葉を一番聞くのか?
- 影響力のある人物が言うことで、変化を促しやすくなる。
- 必ずしもマネージャー自身が説得する必要はなく、信頼できる同僚や先輩に協力を仰ぐことも有効。
- 変化後の世界を見せる
- 変化によって何が得られるのかを具体的に示す。
- 例えば、お金を重視する人には「どれだけ給料が上がるか」を伝え、社会的な意義を求める人には「この仕事がどう社会貢献につながるか」を示す。
では、特に明確な目的がないメンバーには、どのようにアプローチすればよいのでしょうか。
3. 目的が明確でないメンバーへのアプローチ
「何をしている時が一番心地良いですか?」 「楽しいですか?嬉しいですか?ワクワクしますか?」
このような質問を通じて、本人が無意識に持っている「喜びの瞬間」を引き出します。
その上で、「~をすることで視座が高くなると、より心地よい状態を作れますよ」と伝えることで、メンバーの視座を高め、モチベーションを引き出します。
4. 視座を高めるための重要ポイント
- 「相手がどうなりたいのか?」を明確にする
- 「そのために何が有効なのか?」を示す
- 「そうなりたいな」と思わせる
- 「示す側(マネージャー)が楽しそうにしている」ことが最重要
マネージャー自身が楽しんでいなければ、どれだけ理屈を語っても部下には響きません。 「この人のようになりたい」と思わせることが大切です。
5. 具体的なケーススタディ
ケース: ベテランMRをチームリーダーに導く
状況:
- あるベテランMR(役職なし)がチームリーダーになることを求められているが、本人は特にやる気はない。
- しかし、成績にはこだわりがあり、自分の成果を出すことに喜びを感じている。
対話例:
マネージャー: 「今後どうなりたいの?」
MR: 「チームリーダーなどはまだ特に考えていません。とりあえず、このエリアでいい成績を残したいです。」
マネージャー: 「いつも数字に対してコミットしてくれてありがとうございます。ところで、〇〇さんは、仕事をしている時、一番ワクワクするのはどんな時ですか?」
MR: 「やっぱり自分の提案が受け入れられた時ですかね。あとは、月末に目標を達成できた時ですかね。」
マネージャー: 「確かに、月末でギリギリに達成した時の喜びは大きいですよね。」
MR: 「そうなんですよね、期待値がそこまで高くない分、ドキドキ感も相まって嬉しいですね。」
マネージャー: 「わかります。ほんとにその数字に対する前向きな姿勢は周りのメンバーにもいい刺激がもらえて助かっています。ところで、その数字達成への意欲ですが、チームリーダーだとより大きいんですよね。」
MR: 「そうなんですか。」
マネージャー: 「自分も達成して、なおかつチームメンバーも達成して、チームとして達成できた時の喜びは、自分だけの達成の5倍くらいは大きいですよ。マネージャーの場合は100倍ですけどね(笑)」
MR: 「今まで自分のことで精一杯で、他の人の数字は意識していませんでした。」
マネージャー: 「〇〇さんは、もうすでにチームメンバーの数字もマネジメントする立場ですし、その能力も十分にあると考えています。なので、私としても、チームとして数字を達成した時のなんとも言えない充実感を〇〇さんにも味わって欲しいです。」
このように、本人の「嬉しい瞬間」を深掘りし、視座を高めることで、意欲を引き出すことができます。
6. まとめ
- 部下の態度を変える基本は 「知識」「経験」「同調圧力」
- マインドを変えるには 「影響力のある人を活用する」「変化後の世界を見せる」
- 目的が不明確なメンバーには 「心地よさの瞬間」を引き出す質問をする
- 視座を高めるには、本人が「なりたい!」と思える未来を示す
- 何より、マネージャー自身が楽しんでいることが最重要
部下のマインドを変えるには、正論を押し付けるのではなく、「その人自身が本当に望むこと」 を引き出し、楽しく成長できる道筋を示していくことが大切です。
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