『リーダーの仮面』を読んで、「なるほど!これは大事だな!」と思った点や「さすがにこのまま適応させるのは非現実的」と感じたことを述べます
1. マネージャーを目指すべき理由
- プレーヤーの能力は30代がピーク。
- 「マネージャーになりたくない」と言っていても、結局は会社にしがみつくことになる。
- だからこそ、早い段階でマネージャーを目指すべき。
まさに今の製薬業界は年々生き残りが厳しいので、これはまさのその通りだと思う
2. マネージャーの基本姿勢
- 感情を横に置くことが重要。 感情に振り回されることほど無駄なことはない。
- 部下のモチベーション管理は不要。
- チームのモチベーションを上げるために飲み会をするのは無意味。
- 人のモチベーションはどうせ下がる。いかに安定させるかを考えるべき。
- 「チームの雰囲気がよくなるのは結果が出たとき」 であり、その逆ではない。
- リーダーの役目は、部下の成長を促すこと。
- 部下を平等に扱うことが重要。
- 部下同士は常に比較している。だからこそ、公平な態度を取る。
- リーダーは部下と一定の距離を置く。
これも大賛成、マネージャーは感情をいかにコントロールできるかが大事
また上司と特定の部下の距離感が近すぎて、部下間において不公平感がでている問題もある
3. 指示とルールの明確化
- プレイングマネージャーも、あくまで「マネージャー」としての責任を果たす。
- 部下が辞めるのは、本人の問題。本来のリーダーの役割を果たしていれば気にしなくてよい。
- 「誰が、何を、いつまでにやるか」を明確にする。
- 「気づいた人が率先してやる」ではなく、「〇〇さんは月曜日にオフィスの整理整頓をやる」と決める。
- そうすることで、不公平感をなくし、無駄な気遣いを排除できる。
- ルールは「形に残る形」で伝える(例:一斉メールや文書)。
- 「私が決めたので守ってください」と主語を明確にする。
- ただし、ルールは「現時点のもの」であり、変更があり得ることを示す。
- 部下からの情報をオープンに収集し、必要ならば修正する。
これもあり!日本人特有の気遣い感はビジネスにおいては要らないと思う
結局GIVE側の人間もTAKEを求めており、感情の探り合いも無駄なストレスとなっている
4. 厳しめの数字を与える意義
- リーダーは未来を見て考える。
- 「厳しい数字を課す上司」は嫌われるが、後になって「厳しくされてよかった」となる。
- 目の前の反感を恐れず、長期的な視点で考える。
- リーダーはお願いをしてはいけない。
- 「この仕事をやってくれるかな?」ではなく、「この仕事は◯◯さんに任せました。来週の水曜日までに報告してください」と言い切る。
- 期限を明確にし、無駄な確認作業を減らす。
- 未達成でも叱らず、事実を指摘し、「では来月はどうする?」と次に向けて進める。
これは難しいと思う。確かに機械的なやりとりで『無駄がなくなる』のは分かるが、よっぽど優秀でカリスマのある上司、もしくは『そういう会社』と全員が納得している時でしかできないと思う。大企業の一部門でそれをやっても他とのGAPで苦しくなる。
5. リーダーは孤立すべき
- 会社は学校やサークルではない。
- 「会社の飲み会が減って寂しい」と感じたら、それは立派なリーダーの証。
- 「楽しく働ければ満足」という部下の言葉は信用しない。
- 本当に楽しさだけを求めるなら、他の仕事を選ぶ。
- 組織の目的は利益を上げること。 会社が利益を出さなければ給料も払えない。
ごもっとも。大企業になればなるほど本質を見失いがちになると思う。会社の利益があってこその給料という当たり前を認識する必要ある。
6. 360度評価は要らない
- 360度評価は結局「好き嫌い」で判断されるため、公平性がない。
- ネガティブなフィードバックが感情的なものになり、建設的ではない。
- 代替案
- エンゲージメントサーベイ(チームの状態を測る)
- 上司の行動に対するフィードバック制度
- 定性評価+業績評価の組み合わせ(成長やチームの目標達成度を指標化)
大賛成。匿名のもの感情抜きで評価できる部下なんてほとんどいない。害悪制度。ではどうすればいいかも考えてみた。
① 360度評価の課題
✔ 「好き嫌い」で評価されると、公平性がなく、成長のヒントにならない
✔ 部下が「本音を言いにくい」ため、本当に意味のあるフィードバックが得られない
✔ ネガティブなフィードバックが感情的なものになると、単なるストレスになるだけで建設的ではない
どうすれば意味のある評価にできるか?
1. 「数値評価」ではなく「具体的なフィードバック」にする
- 「この人が好きか嫌いか」ではなく、「どんな行動が良かったか/改善すべきか」を具体的に聞く仕組みにする。
- 例えば、「あなたが成長するうえで、上司のどんな行動が役立ちましたか?」 のように、ポジティブな観点を入れる。
2. 匿名評価をやめ、1on1でフィードバックをもらう
- 匿名の360度評価だと、部下が無責任な評価をしやすくなる。
- そこで、「定期的な1on1で、フィードバックをもらう形にする」 ことで、より具体的な意見を引き出せる。
- 例えば、「最近のサポートで良かった点・改善したほうがいい点ある?」と会話ベースで聞くと、建設的な意見が出やすい。
3. 事実ベースのフィードバックを求める
- 「感情的な評価」ではなく、「具体的な出来事に基づくフィードバック」を求める仕組みにする。
- 例えば、「最近のミーティングで、あなたの仕事を進めるうえで上司のサポートがあった場面を教えてください」と聞く。
- これなら、「好き/嫌い」ではなく、実際の行動に基づいた評価 になる。
4. 360度評価を「成長のための仕組み」と明確化する
- 360度評価の目的が「昇進や評価のため」となると、「好かれること」が目的になりがち だが、
- 「リーダーの成長のためのフィードバックを得る仕組み」として位置づけることで、感情的な評価を避けやすい。
③ 360度評価をやめるなら、代わりに何をする?
もし 360度評価そのものが感情的になりすぎて使い物にならないなら、別の方法を導入するのもアリ。
1. 「エンゲージメントサーベイ」を実施
- 「リーダーの評価」ではなく、「チームの状態」を測る形にする。
- 例えば、「チームの目標が明確になっているか?」「職場の雰囲気はどうか?」といった質問をする。
- これなら、「上司が好きか嫌いか」ではなく、チームとしての課題が見える。
2. 「上司の行動に対するフィードバック制度」を導入
- 「部下がどう思うか」ではなく、「上司の行動が、部下の成果にどう影響したか?」 を測る。
- 例えば、「上司がサポートしてくれたことで、あなたの仕事がスムーズに進んだ経験を教えてください」と聞く。
3. 「定性評価」+「業績評価」を組み合わせる
- 部下のフィードバックに頼りすぎず、リーダー自身の業績(チームの目標達成度)と、部下の成長を指標として評価する。
- 例えば、「部下がどれだけ成長したか?」を見える化することで、リーダーの影響を測る方法 もある。
④ 結論
🔹 もし 360度評価が好き嫌いで決まるなら、単なるストレスにしかならないので、評価の仕組みを変えるべき。
🔹 360度評価を続けるなら、「感情的な評価」を排除し、「具体的なフィードバック」に変える。
🔹 もし評価方法自体を変えるなら、「エンゲージメントサーベイ」や「上司の行動フィードバック」に切り替えるのも選択肢。
ただ「好き嫌いで判断されるから無意味」と諦めるのではなく、「どうすればリーダーの成長につながる評価になるか?」 を考えて仕組みを作るのが重要だね。
7. プロセスに関与しない識学の考え方
識学の主張
- 上司は「結果」を求め、部下は「結果を出す手段」を自分で考えるべき。
- 上司がプロセスに口を出すと、部下の思考力や主体性が育たない。
- だから「結果を出せ」とだけ伝え、あとは部下に任せる。
これはさすがに厳しい。プロセスを無視して成長できるほとできた人は少ない。これも考えてみた。
本当にプロセスに関与しない方がいいのか?
✔ メリット
- 部下が受け身にならず、自分で考えて動く。
- 「やらされ仕事」ではなく「自分ごと」として取り組む。
❌ デメリット
- 成功パターンがあるのに、部下がゼロから試行錯誤するのは非効率。
- 成果のバラつきが大きくなり、優秀なMRとそうでないMRの差が広がる。
- 短期成果に偏り、持続的な成果が出なくなる。
では、どうすればいいのか?
MRの仕事には、ある程度「勝ちパターン」が存在する。
「成功するアプローチ方法」がある程度確立されているのに、部下が一から試行錯誤するのは非効率。
結果、無駄な努力をさせられ、成長スピードが遅くなる可能性がある。
「部下によって成果のバラつきが大きくなる」
プロセスを指導しないと、できる人とできない人の差が極端に開く。
例えば、「優秀なMRは自分で考えて成果を出せるが、そうでないMRは何をすればいいか分からず迷走する」。
「できる人はさらにできるようになり、できない人はついていけなくなる」組織になりやすい。
「短期的な成果を求めすぎて、持続的な成果が出なくなる」
「とにかく結果を出せ」とだけ言うと、短期的な数字を追いかけすぎる危険がある。
MRの仕事は「医師との関係構築」が重要だが、「すぐに売上を上げろ」と言われると、短期的に効果のあるプッシュ型の営業に偏るリスクがある。
その結果、長期的な関係性が築けず、継続的な成果が出なくなる可能性がある。
🔹 「プロセスに100%関与しない」のではなく、「考え方のフレーム」を示すのがベスト。
🔹 部下に「自由にやらせる」と言っても、完全に放置すると成果が出にくいので、方向性を示すべき。
✅ 1. 「基本の型」を教えた上で、試行錯誤させる
「MRとしての成功パターン」や「営業の基本戦略」は共有する。
ただし、「このやり方だけでやれ」とは言わず、「このフレームの中で工夫してみて」と伝える。
例えば、
✖「医師にもっと提案しろ」 → ◎「この先生はどういう情報を求めているか?考えてみて」
✖「こうやれ」 → ◎「このパターンがあるけど、自分ならどうする?」
✅ 2. 「チェックポイント」だけを設定し、細かい指示はしない
「全部自由にやれ」ではなく、「○○の段階で振り返る」「□□の基準をクリアしているか確認する」など、一定の指標を設ける。
例えば、
❶ 「訪問回数」ではなく「医師との関係の深さ」を指標にする
❷ 「売上」だけでなく、「医師の意識変容」をKPIにする
✅ 3. 「考えさせる質問」を投げかける
「成果を出せ」とだけ言うのではなく、思考を促す質問をすることで、部下が自分で考える力をつける。
例えば、
✖「もっと数字を上げろ」 → ◎「売上を伸ばすために、どの先生にどうアプローチすればいい?」
✖「やり方は自分で考えろ」 → ◎「A先生とB先生の対応を比較してみて、何が違う?」
④ 結論:「識学の考え方は部分的に取り入れるのがベスト」
識学の 「プロセスに関与しない」 という考え方は、「部下が自ら考える力を鍛える」 という点では有効。
しかし、MRのような仕事では、
🔸 完全にプロセスを無視すると、成長スピードが遅くなる
🔸 優秀な人材とそうでない人の差が広がる
🔸 短期成果に偏り、長期的な関係構築ができなくなる
というリスクがある。
🔹 だから、「プロセスを完全に放置」するのではなく、「フレームを示しながら、部下に考えさせる」形が理想的。
🔹 「型を教え、チェックポイントを作り、考えさせる質問を投げかける」ことで、部下の成長を促進しながら成果にコミットさせるべき。
つまり
✔ SLIIの方が、部下のレベルに合わせて成長させやすいから、現実的にはSLIIを軸に考えるのがベスト。
識学の「責任を持たせる考え方」はD3~D4の部下に活用し、D1~D2には段階的な支援をするのすべき。
8. まとめ
識学の「感情を排除し、成果にコミットする」考え方は有効ですが、全てをそのまま適用すると、現実とのギャップが生まれます。
特に、新人や経験の浅い人にはまず「基本の型」を覚えさせ、その後に自由に考えさせるという**「ピカソ理論」**的なステップが必要です。
🔹 新人:基本を徹底的に学ばせる。 🔹 経験者:成果にコミットさせる。
識学のエッセンスを活かしつつ、状況に応じた柔軟なマネジメントが重要だと思います。
コメント